杉本くん(浜松医科大学1年)×工藤勝彦

杉本 望拓くん
静岡聖光学院高校卒。中学3年生の夏から工藤塾に入塾し、2017年浜松医科大学に現役合格。兄も工藤塾で学んだ結果、2015年に現役合格を果たしており、兄弟で浜松医科大学に通学中。

(以下、敬称略)

本格的に医学部受験に取り組み始めた際の様子を教えてください。

杉本:中学まではサッカー中心の生活だったので、あまり勉強していませんでした。でも、特に問題だとは思っていませんでした。これからなんとでもなるだろうと高をくくっていたんですね。当然のように、勉強を進めるにつれて現実を思い知らされることになるのですが・・・。ただ、挑戦する前に高いハードルだと決めつけなかったことは良かったと思います。合格したときに「医学部って受かるもんなんだな」と思いましたから(笑)。医学部合学は、確かに大変ではありましたが、絶対に無理というレベルではありません。
工藤:頑張れば届くということを、もっといろいろな人に知ってほしいですね。医師の素養がある人が、難しそうというだけで医学部受験を敬遠してしまうのは、本当にもったいないことです。

工藤勝彦(工藤塾塾長)

特に苦手な科目はありましたか?

杉本:国語です。受験で必要な科目であることは分かっていたのですが、何をどう勉強すればいいのかがよく分かっていなかったんです。それが、工藤塾でしごかれて、正直きつかったのですが(笑)、少しずつ「ああ、国語って成績上がるんだ」と実感できました。そのおかげで、高校3年時には成績が飛躍的に上がり、最終的には得意科目にすることができました。

なぜ得意科目にまでなったのでしょうか?

杉本:基本的な事項がそもそも抜けていたんです。そこを覚えた上で、文章の中でどう使うのかを繰り返しトレーニングしました。日本語は主語が省略されることが多いのですが、書かれていない状況を推察して、具体的にイメージできるようになりました。古文単語でも、系統を分け、関連づけて覚える方法を教えていただきました。文章を読む上で使える覚え方だったので、とても助かりました。
工藤:一見あいまいな日本語に隠されている表現を読み取る力をつけるのは、普段の生活の中では難しいですよね。読解力を高めることができれば、小論文でも生きてきます。
杉本:はい。ただ、小論文では、最初は自分の言いたいことと、読んだ人が受ける印象が、予想以上に違うということに戸惑いがありました。自分では「素晴らしいものが書けた!」と思っても、採点してもらったら、修正で真っ赤になって返ってきたことが何度あったか・・・。「特別なことは書かなくていい、聞かれていることにしっかりと答えよう」と思えるようになって、ようやく文章が伝わりやすくなったと思います。

これは、面接での受け答えにも通じます。面接では、事前準備も大切ですが、想定と異なる質問をされた場合には、「聞かれたことに対して答える」という姿勢の方がいいかなと思います。用意していた言葉にこだわり過ぎると、質問された内容と答えが食い違ってしまいます。

英語はもともと得意だったのですか。

杉本:単語を覚えるのが何となく好きで、中学1年生のときから、ずっと単語や文法を覚えていました。他の勉強はしていなかったので、ほとんど趣味です(笑)。
工藤:単語の力は圧倒的でしたね。
杉本:趣味のおかげです(笑)。ただし、単語は覚えていましたが、それをどうやって使えばいいかは、さっぱり分かっていませんでした。そこで、文の構造と、句や節にこだわって勉強しました。この句がこの名詞に係っていて、この節は次の文章を修飾していて、というというように丁寧に読んでいたんです。その時期があったからこそ、英文を前から読む練習が生きて、読解のスピードが上がりました。ただ文章が読めればOKという勉強をしていたら駄目だったと思います。
工藤:医学部受験では、最終的に助けてくれるのは、英語の場合が多いですね。安定して得点することができますし、配点比率の高い大学もあります。
杉本:英語が得意だったからこそ、医学部受験もなんとかなるんじゃないか、と思うことができました。

杉本 望拓くん(浜松医科大学1年)

理系科目は取り組み方が変わったそうですね。

杉本:特に数学や物理で、最初はパッと見てパッと答えるような解き方だったのですが、だいぶ論理的に考えることができるようになったと思います。工藤塾に来るまでは「目の前の問題が解ければ、それでいい」というような勉強しかしていなかったんです。ですので、同じような問題なら解けるのですが、少しでも条件を変えられると、もう対応できない。それが、「なぜ、その考え方が有効なのか」「どうして、この操作をここでやっているのか」ということに目を向けるようになって、論理的に解答を導き出せるようになりました。

物理であれば、目の前の問題を解くことだけを考えると、公式を覚えて当てはめる、というやり方になってしまう。そうではなく、最初に、物理学的な体系を、自分の中に取り込む必要があることを教わりました。そのおかげで、目の前のことだけでなく、全体的な視点を持てるようになったと思います。

また、授業では先生を質問攻めにすることもありました。何が分からないのかを自分で理解していないと、まず質問が成り立ちません。自分の現状を分析した上で質問し、答えていただくというやりとりを繰り返すことで、考えが整理されていきました。「何が分からないのか」を分析できるようになったことは、受験勉強の大きな収穫です。

入試では生きましたか?

杉本:浜松医科大学の推薦入試の個別試験では、まさに論理的思考力が問われる適性検査がありました。見たことがない問題が出てきましたが、自分なりに解答を導くことができました。何を求められているのかを分析して、問題となっている点を洗い出し、一つ一つ解決していくという訓練をしてきたおかげです。

センター試験当日は、どんな気持ちで迎えましたか?

杉本:直前のセンター模試がひどい結果で、得点率が80%を切ってしまったんです。無駄に緊張してしまって。でも、「本番ができればいい」と、かえって開き直ることができました。

一方で、本番でも「絶対に何かが起きる」という覚悟はしていました。「全部上手くいくかも」とは一切考えませんでした。想定通りにいかないことを想定していたというか。パッと見て分からない問題は出てくるものであって、そのときに「自分に解けない問題があるはずがない。一回、冷静になろう。そうすれば解ける」と考えられるように準備していました。そして、解き方に迷ったときにはペンを置くようにしました。これは本番でしかやっていないのですが、やって良かったです。

どんな効果がありましたか?

杉本:ペンを持ったまま考えていると、何かしら書いてしまうんです。頭の中がぐちゃぐちゃになっているまま、続けてしまう。ペンを置くことで、新しい気持ちで問題に向き合えました。ペンを置くのは自分の自信の表れだとも思っていました。「絶対に時間内に解き終わる、時間が足りなくなるなんてことはない」と思えるからこそ、いったんリセットできたんです。実際には国語と物理、化学でペンを置きました。化学は最後の科目で疲れていたので、頭が上手く働かず、何回も置きました(笑)。

その結果、センター試験では91%取ることができました。センター利用ができる私立大学に出願していたので、一次の合格通知がたくさん届きました。これにはテンションが上がりました(笑)。国公立を目指す場合でも、センター利用ができる私立は出願しておいた方がいいと思います。その後の入試を、気分良く受けることができます(笑)。

最終的には、入学した浜松医科大学だけではなく、私立最難関校の一つである順天堂大学にも合格しました。

杉本:得意科目を生かせるかどうかが最も大事なんだと工藤先生に教えていただきました。最初は、もっと偏差値が低い大学の方が受かりやすいだろうと思っていたのですが、医学部受験に関して言えば、必ずしもそうではありませんでした。順天堂大学は、鍵となる英語の量が多く、センター試験のトレーニングとして位置付けることができたので、センター直前でも対策ができ、効率的に勉強できました。
工藤:医学部受験は戦略が大事です。得意科目を生かすことも含め、自分に合った受験校を選ばないと、偏差値に関係なく落ちてしまいます。しっかりと戦略を立てて、後は迷わずに実行することが大事です。

現役合格のために大事なことはなんでしょう?

杉本:私の経験で言えば、遅くとも高校1年生のときから先取りを意識した勉強をしていかないと厳しいと思います。特に理科は、学校の授業が入試直前まで続くので、十分な志望校対策ができず、現役合格は非常に難しいと思います。私は、新しい分野を先取りし、分からないところは先生に質問して理解するようにはしていたのですが、演習量が不足していたため、高校3年生になってから苦労しました。もっと早くやっておけば良かったと、いつも後悔していました。
工藤:現役で国立の医学部に合格するには、通常のカリキュラムでは厳しいですね。高校2年生までに全科目を修了するような学校の生徒には、どうしたって負けてしまう。
杉本:そうなんですよね。ただ、私の場合は中高一貫校に通っていたので、高校受験がありませんでした。だからこそ、中学3年生から高校2年生の間に、英語の基礎をひたすらやることができたんです。これが半年遅れていたら、得意の英語すら間に合いませんでした。
工藤:望拓くん自身は勉強速度が遅かったと感じていたかもしれませんが、静岡県内では相当早く進められていましたよ。現役合格できるだけの速度を保っていました。
杉本:ただ、ギリギリだったとは思います。もう一度受験するなら、もっと早くから始めます。

将来は、どんな医師になりたいですか?

杉本:現時点では、発達障害の子どもを診ることができる医師になりたいです。これからの社会を支えていく子どもたちに対して、もっと何かできることがあるんじゃないかという思いがあります。それが、研究医として障害そのものと向き合うことなのか、臨床医として直接手助けすることなのか、医系技官として制度面を整備していくことなのかは分かりませんが、発達障害の子どもたちが活躍できる環境を提供できる医師になりたいと思っています。
工藤:将来の目標を考えると、本当に良い大学に入ったと思います。工藤塾としては、静岡の医師不足解消に貢献することを理念としていますので、ぜひ静岡で活躍してほしい。

 

聞き手:三山 真太郎(教育情報センター)