山梨くん(兵庫医科大学1年)
強口くん(埼玉医科大学1年)×工藤勝彦

山梨 拓海くん(写真奥右)
静岡高校卒業後、工藤塾に入塾。2年間の学習を経て、兵庫医科大学合格。大学では水泳部と陸上部を兼部。

強口 芳史くん(写真左)
掛川西高校3年生時から工藤塾に入塾。高校時代はバスケットボールに熱中するも、1浪で埼玉医科大学合格。大学でもバスケットボール部に所属。

(以下、敬称略)

現役時代の学力はどうでしたか?

工藤勝彦(工藤塾塾長)

山梨:今だからこそ笑って話せますが、センター試験の得点率は50%くらい。医学部を目指していいのかと、自分で心配したほどのレベルです(苦笑)。加えて、医師になりたいと思ってはいましたが、最初は何が何でもというほどの思いはありませんでした。なので、2浪が決定したときには、医学部受験自体について悩みました。
工藤:「私は医師になれますか? もうやめた方がいいですか?」と相談されましたね。「勉強をやる気になれば、なれるよ。山梨くん自身がなりたいと思って頑張れるかどうか、それだけだよ」と伝えたことを覚えています。医学部受験は最難関とも言われるレベルですが、工藤塾では勉強を強制することはありません。あくまでも本人が「なりたい」と思って自発的に頑張ってこそ、将来的に良い医師になってくれると考えています。
山梨:工藤先生の言葉で、もう1年頑張ろうと決意しました。同時に、そのタイミングで、工藤塾の授業形式が変わったのも大きかったです。それまでは全員が1対1の個別授業だったんですが、2浪目から、既卒生は5人くらいのゼミ形式になったんです。切磋琢磨する仲間ができて、刺激になりました。1浪目の人たちに「先輩」と呼ばれていたので、これは受からないとまずい、というプライドもありました(笑)。
工藤:安心して見ていられるようになったのは、2浪目の夏以降でしたね。
山梨:はい、2浪目から受験生らしくなりました(苦笑)。1浪で失敗して気付いたのは、「浪人して受かるのではなく、勉強して受かる」ということです。当たり前と言えば当たり前なのですが、この気付きが、私の中では大きな一歩でした。
強口:おお、名言が出ました(笑)。
山梨:現役生みんなに伝えたいです(笑)。浪人したからといって受かるわけではありません。浪人中に勉強するから、結果、浪人生の合格者が多いだけだと思います。現役でも浪人でも、勉強しなければ受かりません。

強口:私も、高校3年生時のセンター模試で、得点率50%を切っているような状態でした。当時の偏差値は45、数学に至っては36しかありませんでした。面接のときに「君、内申点悪いねえ…」とあきれられたほどです(苦笑)。そんな成績にも関わらず「医師になる」と宣言していたので、同級生には「医者志望」というあだ名をつけられました(笑)。誰も本気にしていなかったんですね。それで、いよいよマズいということで、高校3年生のときに工藤塾に入ったんです。
工藤:強口くんには、最初の面談で「薬学部に1年で受かりますか?」と質問されました。
強口:学校では公言していましたが、自分の成績を考えると、医学部志望とは言い出しにくくて…。「本当はどこに行きたい?」と聞いてくださったので、思い切って医学部だと伝えることができました。学校の面談では、冗談混じりに「医学部合格には何年かかるかな」と言われていましたし、自分でも「そうだろうなあ」と思っていました。でも、工藤塾の面談で、「じゃあ、医学部目指そうよ」と言ってもらったんです。本気で「医学部目指していいんだ」と思えるようになったんです。それも浪人前提ではなく、まず現役の間に何ができるかを、真剣に考えてくれて、「やってみよう」「ここで頑張ろう」と思えました。
工藤:残念ながら1年では合格に届かなかったのですが、「頑張って、もう1年勉強しようか?」と聞くと、「はい。頑張ります」と答えてくれました。そして、その通り一生懸命勉強していました。
山梨:私は浪人から入塾したのですが、最初は「すごく雰囲気のいいところだな」「塾っぽくない塾だな」という印象でした。両親からは「やることやって落ちたのなら仕方がないから、まずはやるだけやってみたら」と言われて、入塾することにしました。

入ってから勉強に集中できましたか?

山梨 拓海くん(兵庫医科大学1年)

山梨:1浪の頃は「浪人すれば、さすがに受かるだろう」と思っていたんです。「勉強の中身はどうあれ、浪人したらみんな受かるもんだ」と漠然と考えていました。なので、最初は勉強姿勢がひどかった(苦笑)。午前中は11時くらいまで寝ていて、15〜17時くらいまで勉強したら、街を散歩していました。今考えると、現役生より勉強時間が少ない・・・。
強口:私はそのとき現役生で、お互いにまだよく知らない段階だったのですが、休憩室で寝ている山梨くんを見たりして、「この人、何してるんだろう?」と、不思議に思っていました(笑)。
山梨:そう思うよね(笑)。同時期に入った同級生がいたのですが、その人は勉強して、1浪で東海大学の医学部に合格していました。間違いなく私の倍以上勉強して(苦笑)。そこで、勉強しないと受からないことに気付いたんです。「浪人しても落ちるんだ」ということを、身をもって知ることになりました。
工藤:その同級生の子も、高校卒業時に、学校の先生に「医学部に合格するには、あと3年はかかるな」と言われたそうです。成績も山梨くんと似たり寄ったりだったんですよ。ただ、頑張り具合が全然違った(笑)。
山梨:まったく反論できません(笑)。ただ、2浪目のときは既卒生クラスがゼミ形式になって、朝から授業があるので早起きになりました。勉強量は1浪のときの2・5倍くらいに増えました。同級生がどれだけ勉強して医学部合格を勝ち取ったかを見ていたので、同じくらい勉強しようと覚悟したんです。
工藤:各教科の講師に山梨くんについて聞くと、どの教科も理解力への評価は高かったんです。ただし、「あいつはサボるからな・・・」とも(笑)。授業後の小テストなんかはできる、けれど成績には結びつかない。本来の学力と成績にギャップがありました。
山梨:1浪目の自分に「浪人しても、ちゃんと勉強しないと受からないぞ」と言ってやりたいです。医学部受験を通して、勉強しなければ結果が出ないということが分かったので、大学に入ってからも勉強するようになっています。大学のテストも勉強しないと通らないだろうなと。授業を受けているだけでは駄目なんだと。勉強習慣は、医学部受験で得た、貴重な財産です。
強口:私は現役のときも勉強していたつもりだったんですが、夏休みは昼に起きたりとか、勉強の仕方がよく分かっていなかったりとか、浪人時と比べると、やはり甘かったと思います。いろいろな知識も不足していました。浪人のときは一からやり直すつもりで、授業で理解することと、しっかりと復習することを心がけました。
工藤:現役と浪人のときを比べると、人に言っても信じてもらえないくらい伸びました。特に数学、物理、化学は、いずれも30点台から80点前後まで取れるようになりました。2倍以上得点できるようになったのは、強口くん自身が考えて、勉強した結果ですね。

勉強で意識していたことはなんでしょうか?

山梨:まずはいすに座り、机に向かうようにしました。最初から2時間3時間勉強しようと思うと、いすが遠のくんです。5分でいいからやろう、10分でいいからノートを開こう、と思ってやり始めると、だんだん面白くなって、気付いたらけっこう勉強していた、ということの繰り返しでした。
工藤:やる気があるから勉強するんじゃないんですよね。勉強するからやる気が出てくるんです。勉強をやる気がないのは、勉強していないからなんです。
山梨:まさにその通りでした。それこそ1分でもいいから机に向かう習慣をつけた方がいい。1浪のときは、医学部合格という大きな目標しか見ていなかったので、いすが遠のいていたんですね。いすに座ってしまえば、立つのが面倒になって勉強をすることもあるので、お勧めです(笑)。
強口:私が浪人のときは、同じクラスの中で自分が最もできないと感じ、一番たくさん勉強しようと決めていました。工藤塾の滞在時間と勉強量は一番になろうと。

片っ端から勉強したということでしょうか。

強口 芳史くん(埼玉医科大学1年)

強口:いえ。それだといくら時間があっても足りないので、4月から8月は基礎固めで、9月に漏れているところを復習、それから演習という計画を立てていました。医学部合格というゴールから逆算して、科目ごとに4月は何ページやって5月はこのページまでいきたい、であれば1日に○ページやればいい、と考えていました。そして、それを実行するために、朝から晩まで、ずっと工藤塾にいました。また、初見で解けなかった問題にはチェックを付けて、翌朝工藤塾に来て最初に解き直していました。そうすると結構頭に残るんです。同時に、英単語や化学の無機・有機の暗記事項は、ノートに書くようにしていました。それを授業の前や、工藤塾から帰る10分前などに、繰り返し見返すことを心がけていました。
工藤:覚えることより、思い出す訓練の方が大事です。特に朝復習するというのはポイントですね。
山梨:工藤先生に言われてやらなかったことは、「朝は4時半に起きろ」ということだけです。面接で、尊敬する人・なりたい人は、すべて工藤先生だと答えていたくらい尊敬しているのですが、それでも4時半には起きれませんでした。ハードルが高かったです(笑)。
強口:私もやってみたかったんですが、無理でした(笑)。6時が限界。でも、確かに早起きすると1日が長くなります。使える時間が増えましたね。
工藤:習慣がつけば、目覚まし時計なしでも4時半に起きられるようになりますよ。今からでも再挑戦してみてください(笑)。

山梨くんは2浪目、強口くんは1浪目で最後の受験を迎えました。

山梨:入試が始まると、少し緊張しました。3浪はしたくなかったですし、学力的にも手応えを感じていたので、失敗はできないと。実際の入試では、一喜一憂していました。1浪のときとは手応えが違うのでやる気が出たり、別の入試では数学が難しくて歯が立たず落ち込んだり。
強口:私が合格したのは一般試験の後期で、後がなかったのですが、不思議なことに焦りは感じませんでした。前期で一次合格していたことも自信になっていたと思います。
工藤:受験が始まってからもぐんぐん伸びていたので、倍率の高い後期で合格することができたんだと思います。秋口から現役生のように一気に伸び始めました。
強口:学力的には、事実上、現役生みたいなものでしたから・・・(苦笑)。
工藤:強口くんが浪人の1年間で実践した自習量は、工藤塾の一つの目安となっています。勉強した本を、自習室の席にきれいに整頓して置いていたのは、工藤塾の名物になっていました。
山梨:ありましたね! 大量の本が束になって置いてあって、「こんなに勉強しているんだ!」と驚きながら見ていました。
強口:意識的に置いていました。「自分はこれくらいやったんだぞ」と自信にしたかったんです。ノートも机の上に積み上げていました。

2人とも面接で手痛い失敗をしたとか。

山梨:地域医療についての質問をされたんです。メジャーな話題であり、工藤塾でも想定問答を練習していたのに、なぜか「よく分からないので、入ってから学んでいきたいと思います」と答えてしまったんです。やはり緊張していたんだと思います。
強口:私は、「あなたの人生で最大のピンチはなんですか」と聞かれ、頭の中が真っ白になって「医師国家試験です」と、まだ受けてもいない試験を答えてしまいました(苦笑)。「未来のことでもいいですよ」とは言われたのですが、冷静に考えると医師国家試験をピンチと捉えている学生はどうなんだろうと、自分でも思いました(笑)。試験官の方は失笑していましたね…。

そんな失敗を乗り越え、無事に合格。

山梨:体感ですが、兵庫医科大学の入試では、物理と化学は、比較的易しかったので、ほぼ満点だったと思います。英語は半分いったかいかないかくらい。入学後に聞いてみたら、みんな「難しくて取れなかった」と言っていたので、ここではあまり差はつかなかったようです。数学で8割以上取れたと思うので、数学の差で受かったんだと思います。
強口:私は全体で75%くらいですかね。差をつけることができたのは、英語です。埼玉医科大学では配点比率も高かったので、英語に助けられました。

現役比率は兵庫医科大学が17.7%(平成29年一般入学者数)、埼玉医科大学が16.9%(平成29年入学者数)となっていますが、やはり年齢層は幅広い?

強口:18歳から30歳までいますね。
山梨:うちも似たような感じです。現役生は20〜30人くらいじゃないでしょうか。
強口:1浪が最も多くて、次いで2浪、3浪。再受験生も7〜8人います。現役生は推薦が多いですね。
山梨:うちも、やはり1浪が多くて、それから現役、3浪、2浪、4浪の順です。現役生は推薦と、あとは一般でちらほらという感じです。

現役生に共通の特徴のようなものはあるのでしょうか?

強口:飛び抜けてできる教科がある人が多いです。一般教養で数学・物理・化学・英語などを学んでいるんですが、「この人、めちゃくちゃ数学できるな」とびっくりするような人は、現役生だったりします。でも、英語の授業に行ったら全然できない(笑)。受験でも、英語は全然点が取れなくて、数学でカバーしたそうです。
工藤:特に私立医学部は、武器となる教科があると有利に働きます。
山梨:去年、強口くんと一緒の授業になったときに、「あ、この人は受かるな」と思いました。英語が飛び抜けて良かったので。
強口:そんなふうに見てくれていたんですね(笑)。現役時代は部活中心だったので合格できませんでしたが、確かに、英語は武器になりました。

工藤塾で印象に残っていることはありますか?

山梨:浪人の2年間を工藤塾で過ごしましたから、思い出だらけです。だから、大学に入って初めての夏休みに、工藤塾にばかり遊びに来ています(笑)。講師の先生方は、みなさん個性的で面白かったです。特に福屋先生の化学の授業では、とんちんかんな受け答えをして「なんでだよ!」とよく突っ込まれていましたが、面白くて好きでした。
強口:勉強面以外でのケアも手厚かったです。先生が気分転換の雑談に誘ってくださったり、カウンターに行ったら職員の方が「最近どうなの?」と気にかけてくださったりとか。話をすることで和んだりしていましたね。
山梨:雑談したいがために、カウンター付近をうろうろすることもありました(笑)。今は移転して休憩室が広くなったのがうらやましいですね。カフェみたいできれいですし。移転前は休憩室が3席しかなく、席の奪い合いでしたから(笑)。

これから医学部を受験する後輩たちに、何かアドバイスをお願いします。

山梨:秋からは本当に時間が過ぎるのが速いです。年明けからは、もう信じられないくらい。
強口:みんなでずっと言っていましたね。「もう10月?」「11月ってあった?」って(笑)。だからこそ、夏までは基礎固めに集中した方がいいと思います。本番でも基礎が大事になってきます。夏以降も見返したりして、基礎の抜け漏れをなくすことが大事です。秋以降は志望校の出題パターンに慣れることも必要です。例えば、センターの英語は80分しかないので、どの問題から解くかなど、シミュレーションをしっかりとしておいた方がいい。
山梨:私立のセンター利用入試は、できるだけたくさん受けた方がいいんじゃないかなと思います。私は3校ほどしか出願していなかったのですが、振り返ると、もっと受けても良かったかなと感じています。センターだけで複数校を受験できるというのは、やはり効率的です。
強口:私もセンター利用入試の出願を増やしていれば、後期まで追いつめられることはなかったかなと思います。3科目だと90%以上得点できていたので、工藤塾でも他の生徒にさんざん「もったいない」と言われました。私立の一般試験で合格するだけの学力があれば、センターでも得点できると思います。
工藤:私立志望であれば、センター対策に偏りすぎてもいけませんが、1浪した生徒には、センター利用でも合格できるだけの点数を取れるように指導しています。
強口:工藤塾に入塾していなければ1浪目で合格はできなかったと思います。本当にありがとうございました。これから受験する皆さん、人に笑われてもバカにされても諦めないで下さい。医師となり共に頑張りましょう!!

聞き手:三山 真太郎(教育情報センター)