講演録 静岡サレジオ小学校「保護者会」

2月21日に開催された、静岡サレジオ小学校の「保護者会」で講演させていただきました。新5年生、新6年生の保護者様を対象に、塾長の工藤勝彦と副塾長の山﨑一幸より「医学部を目指すために、小学生のうちに準備しておいてほしいこと」「医学部受験の現状」「静岡サレジオと工藤塾の提携の狙い」などを紹介いたしました。参加された保護者の皆様は、医学部受験のハードルの高さに驚きながらも、熱心に話を聴いてくださいました。講演でお伝えした主な内容を以下にまとめましたので、小学生から始める医学部受験準備の参考にしてみてください。

学び癖を身に付ける

医学部合格には、高い学力が必要ですが、それだけでは合格が難しくなっているのが現状です。では、医師を目指すにはどんなことが求められているかについて、学校と医学部予備校が提携しているメリット、そして小学生から医学部を目指す際のアドバイスを含めながら説明させていただきたいと思います。

まず、医師を目指すには強い動機が必要です。「ただ勉強ができる」「お金が稼げて安定している」といった動機だけでは合格できません。「どういった医師になりたいのか」という明確な動機・目標を持つことが大切です。それが受験勉強へのモチベーションにもつながります。医師になったら医療技術・研究など学び続けることは当たり前になります。小・中学校でも新しいことに興味を持ち、“学び癖”や“勉強習慣”を身に付けましょう。

さらに、センター試験に代わる「大学入学共通テスト」でも求められる力になりますが、医学部入試の難解な文章題を読み解くには、読解力や論理的思考力が必要です。読解力が弱いと、英語、数学、物理などの問題も解けません。また、論理的思考力が育っていないと、私立医学部入試で必須の小論文が書けません。この力を磨くには新聞の社説がオススメです。小学生でも内容を理解できるものが多く、要約し結論を引き出す練習ができます。朝読ませて「どんな内容だった?」と質問するだけでも効果的です。

これからの医師に必須のコミュニケーション能力


最近医師として求められる能力の一つに、コミュニケーション能力があります。臨床医を目指す場合は、患者と接する機会が多く、さらにチーム医療を行う上で他の医師や看護師たちとの信頼関係を築かなければならないため、高いコミュニケーション能力が欠かせません。相手の意見を聴く力、自分の意見を分かりやすく伝える力、答えがない課題に対して結論を導く力などは、二次試験の面接で評価されます。コミュニケーション能力もやはり、読解力と論理的思考力という土台の上に成り立っています。

ですから、ご家庭でも、小学生のうちから自分の意見を伝えることを大切にしてあげてください。難しいことではなくて、会話をする中で、察することを少し我慢してほしい。「こういうことを言っているんだろうな」と先回りするのではなく、言葉で伝わらなかったら、「わからない」と答えてあげてほしいんです。それが、相手に伝わる言葉を考える練習になります。察すること自体が悪いわけではありません。あくまでも、自分の考えを人に伝える練習の機会を設けてあげてほしいんです。

工藤塾でも小学生の生徒をお預かりしていますが、一方的な講義ではなく、対話を重視しています。理解したこと、判断した根拠を自分の口で、自分の言葉で話す機会を数多く設けています。1コマ120分の1対1個別指導ですが、小学生が一番楽しそうに授業を受けているのではないでしょうか。そして、授業で人に伝えること、根拠を明確にすることを学んだ生徒は、読解力、論理的思考力が鍛えられているため、国語だけでなく全教科の学力が上がります。これからが楽しみな生徒ばかりです。

医学部現役合格は最低でも4年計画で

現役で医学部に合格するためには、高校2年生の秋以降の1年間を演習に充てるのが基本です。具体的には、中学3年生までに中学の履修内容を総復習した上で、高校のカリキュラムを先取りし、高校2年生のうちに高校の履修範囲を終了するためです。このペースで学習を進めるには、やはり最低でも4年間が必要です。これは、同じペースで学習を進める首都圏の進学校の生徒や、1日12時間以上を勉強時間に充てている浪人生との競争を勝ち抜くために必要な期間です。静岡サレジオのエグゼコースは中学3年生〜高校3年生の4年間に設定されており、工藤塾が考える医学部合格に必要な学習期間と合致しています。

保護者+静岡サレジオ+工藤塾のチームで生徒を支える


そして、医学部は、受験教科が多いのでとにかく勉強が大変です。ですから、勉強を続けるのがつらいときもあります。工藤塾では生徒本人と毎月面談するのはもちろん、保護者の方とも3カ月に1回程度面談を実施し、現在の学力状況や進度を共有しています。担任、教科担当講師、保護者様も含めて、チーム全員で生徒の状況を把握しながらモチベーション向上を図り、学習計画の修正や志望校選びを進めています。静岡サレジオとの提携によってチームに学校も加わり、静岡サレジオ生には今まで以上に効果的・効率的な学習を提供できるようになりました。学校の課題、塾の課題、自分の勉強と分けて考えずに、静岡サレジオ、工藤塾、自学の三位一体で受験学年まで学習を進めることが可能になったんです。

一般的に、学校は文科省の指導要領に沿った指導が求められるため、受験直前まで受験教科の授業が終わらないケースが多々あります。そのため、受験に間に合わせるための学習を予備校が担っているのですが、せっかく医師を志して、さらに真面目に努力することができる子どもでも、真面目さが裏目に出てしまう悲劇が起きることがあります。学校の勉強も、部活も、受験勉強も、全てを完璧にこなそうとして潰れてしまうんです。静岡サレジオと工藤塾とで連携し、生徒1人1人に必要ことを常に考え、優先順位をつけながら受験学年まで育て上げることは、こうした精神的なサポートの面でも有効です。