合格者インタビュー「ここで頑張れば大丈夫だという安心感があった」(東京大学理科一類 合格)
海野 大輔くん(静岡サレジオ高校卒)
2021年度入試で東京大学理科一類に合格。教務統括の福屋が担任を務める
工藤塾は医学部専門予備校ですが、医学部以外を志望する生徒さんも、毎年一定数いらっしゃいます。今回はその中から、第一志望である東京大学 理科一類に見事合格した海野くんに、工藤塾での勉強について話を伺いました。
(以下、敬称略)
工藤塾には小5から通っていました
海野:長い間お世話になりました。それまでも他の塾に通っていたのですが、当時は医学部を目指していたので、専門予備校の方がいいだろうということで、通うことになりました。最初の印象は、さすがに覚えていないのですが、ここで頑張れば大丈夫だという安心感はずっと持っていました。
医学部志望からAIの研究をしたいと目標が変わったのは、どの瞬間だったのでしょうか
海野:静岡サレジオでは中3からコースが分かれるため、中2の秋くらいから進路を考えていたのですが、今までは気付いたら医師を目指していたという状態でした。
そこで、改めて、自分は本当に医師になりたいのかと自問してみました。すると、そこまでのモチベーションが無かったのと、本当に向いているのか、あまり自信がありませんでした。そんな生半可な気持ちでやっていける職業でもないなと思い、医師を目指すのは止めました。
じゃあ、自分は何に一番モチベーションがあるのかというと、AIの研究でした。ですから、AIを学べる大学、学部に行きたいと思うようになりました。
AIはまだ開発途中というか、分かっていない部分も多いじゃないですか。そこを本気で理解してみようと思いました。完成されている分野を学ぶよりも、発展途中の分野を学ぶことで、最先端の学び、研究をしたいという気持ちが強かったんです。
そして、高1のときに志望校を本格的に考え始めて、一番AIの研究に強いのは、東京大学だろうと考えました。せっかく受験勉強をするのであれば、東京大学を目指す方が、モチベーションも高く保てるだろうという狙いもありました。ただ、そこまで勉強ばかりしていたわけでもありません。
福屋:工藤塾の教室で、文化祭の準備をしていました(笑)。
海野:高2のときなので、割と最近ですね(笑)。でも、エグゼコース※に進学した中3からは、割と勉強に集中していましたよ。
※静岡サレジオの、医学部をはじめとした難関大学進学を目指すコース
福屋:受験直前までは、受かるための勉強ではなかったんじゃないかなと想像しています。
海野:確かに、テストで時間内に点数を取ることを目指した勉強は、直前だけでした。それまでは、ちゃんと理解しようという勉強でした。
福屋:研究に興味がある人に多いのですが、ものごとを知りたいんですよね。評価されたら、それはそれでうれしいんですけど、分かればいいというスタンスなんです。
海野:負けず嫌いなので、学校の定期テストなんかは点数を取ろうと努力はしました。ただ、それ以外の勉強は、常に理解したいという気持ちが強かったです。
福屋:問題が解けないという質問は一切ありませんでした。「教科書のここなんですけど」など、考えている内容が、教科書の情報では足りないんです。高校の範囲を超えて質問されることが多かったですね。
海野:答えが出ても、「なぜ」という部分があると、勉強した気がしないんです。
英語が得意科目です
海野:最初は苦手でした。小学生の頃から英会話は習っていたのですが、あまりできなくて、英検4級に2回落ちたくらいです。なかなかいないですよね(苦笑)。
中1のときも苦手なままで、あまり問題も解けていませんでした。でも、工藤塾で篠原先生の授業を受けていくうちに、だんだんと成績が伸びていきました。単語や文法の基礎を固めていく中で、点数が取れるようになっていったんです。点数が取れるようになると、楽しくなってくるので、それでまた勉強して、という感じで得意になっていきました。
中1のときに、英検3級は一発で合格したのですが、静岡サレジオだと小学生のうちに取っている人も多いので、あまり自信にはなりませんでした。それから、中学のうちに2級を取り、それくらいから自信が持てるようになりました。
印象に残っている先生を教えてください
海野:それぞれの先生が特徴的で、皆さん印象に残っています(笑)。英語の篠原先生には中1から6年間指導していただきました。文法を、連鎖関係代名詞とかいった難しい言葉を使わずに説明してくれるので、とっつきやすいんです。篠原先生のおかげで英語が好きになりました。
数学の水澤先生は、相当深いところまで、高校数学の範囲を超えて、本当に厳密に話してくれました。私は理解することが好きなので、本当にためになりました。
中3から物理を受講していました
福屋:物理を早く始めたのは、結構大きい要素だったと思っています。化学よりも物理に興味を持っていたので、じゃあ早めに始めようかということで中3から受講してもらうことになりました。
AIを研究したいという目標があったので、受験に向けてではなく、進学後も実際に使うであろう科目を伸ばしていこうという狙いがありました。早めに始めることで、受験一辺倒ではなく、興味をもたせながら授業をできるんですよね。すごく発展的な内容を扱ったり、じっくりと説明したりすることができました。
今回の共通テストの物理は、見た目がかなり変わっていました。ちゃんと物理を考えず、テストに向けての勉強しかしてこなかった人は、軒並み点数を落としたと思います。それで100点を取ったので、そういった指導をしてきて良かったと思います。
海野:物理は、慣れないうちは、なかなか大変でした。でも、中3から始めていたおかげで、早い段階で慣れない段階を乗り越えることができたので、その後の学習を順調に進めることができました。
福屋:「現象を理解する」という感覚を身に付けないといけないんです。それまで数学を勉強してきているので、どうしても公式を覚えてこなすという方向に走りがちなんですが、物理はそうではないんです。公式を覚える必要性すらないです。使っているうちに、自然と覚えてしまいます。そういった感覚を持ってもらわないといけないので、最初に時間がかかるんです。理科の中では、突出して最初の壁が高いです。それさえ越えれば、割と簡単ですが。
どんな生徒さんでしたか
福屋:他の生徒さんとは、質問の仕方が違いました。学問を学んでいるんだという感覚が強かったです。高2のときに化学の授業を担当していたのですが、なぜそうなるのか、理解に重きをおいて、理論を重めにやりました。高3時には物理を指導したのですが、もう完成していたので、ものすごく難しい問題を解説するくらいでした。ですから、どんなことを経験させようか、ということを常に考えていました。
共通テストの手応え
海野:あまりないんです。自己評価が低いのかもしれませんが、すべての入試で、手応えのあったテストは一つもありませんでした。全部ダメだと思っていました。
共通テストの数ⅠAは、もう少し崩れたかなと思いましたが、86点でなんとか踏みとどまってくれました。数ⅡBは98点でした。今年は簡単だったので、それなりに取れたとは思いましたが、怪しいところもありました。
理科は得点調整前で物理100点、化学90点でしたが、時間が厳しかったです。選択肢も引っ掛けが多かったので、ミスをしている可能性が高いなと思っていました。
ですから、自己採点で91%を超えていたときには、ほっとしました。自己採点する前は、下手したら80%を切っているんじゃないかと思っていましたから。
福屋:さすがにそれは、自己評価力の問題ですね(笑)。
海野:全般的に、見直しをする時間が取れなかったんですよ。英語のリーディングも結果は100点でしたが、本当に時間がギリギリで、まったく見直しができませんでした。ですから、どこかでミスはしているだろうなと思っていたんです。
倫理・政経は頑張りました。正月もひたすら資料集とかを読んで、満点を狙った結果、94点を取ることができました。共通テストになり、どの科目で転ぶか分からない中で、社会はやっておけば安定するだろうと思っていました。
国語は170点と、少し悔しい結果でした。もう少し取りたかったです。
そして、2次試験に臨みます
海野:1日目の最初が国語だったのですが、国語ができたかできないかって、正直分からないじゃないですか。でもまあ、まずまずかなという感触でした。
数学は、解いているうちにまずいなと思いました。結構難しくて、途中から完答は厳しいから部分点を稼ぐ方針に切り替えました。とにかく書けることは全部書きました。東京大学は、かなり細かく採点して、部分点を結構もらえると聞いていたので、そこを意識しました。
2日目の理科は、物理も化学も難しくて、理科の問題を解いている途中で不合格を確信していました(苦笑)。ですから、最後の英語は、合格を意識せず、今までやってきたことを全部出そうと思いました。うまく切り替えられたと思います。その結果、英語はよくできたと思います。
福屋:今年の東京大学の物理は、本当に難しかったですね。でも、その中で、できる問題、箇所を確実に取り、最後の英語で切り替えられたのも大きかったと思います。
海野:最後の英語は取り切れたと思いますが、全体ではダメかなと感じていました。
福屋:その後、お母様から電話がありました。多分落ちているから、進路をどうするかという話をしました(笑)。
海野:浪人するか、合格していた慶應義塾大学に進学するかを相談させていただきました。相談の結果、慶應義塾大学に進学すると決めていたのですが、思いがけず東京大学に合格できたので、進路が急に変わった感覚です。
難関大学を目指すときにやっておいた方がいいこと
海野:分からないことがあったら、まず自分で考えて、それでも分からなければ、質問して、分からないことをほったらかしにしないことですかね。今までの学生生活を振り返っても、勉強ができる人ほど質問していたと思います。あと、テストで点を取るということには、あまり早いうちからこだわり過ぎない方がいいのかなと思います。
福屋:テストは、チェック機構だととらえてほしいですね。ここまで勉強してきて、身に付けるべきもののうちの何%が身についてるのかを確認するのがテストです。
海野:テストを軽視するわけではないのですが、そこまで絶対視しなくてもいいのかなと感じています。大事なのは点数ではなく、その後の復習ですから。